【カオルside】



────バタン


バイトを終え、眠さを我慢しながら家に着きドアを閉めた。

その時、タイミング良く携帯が鳴る。

綺月かと急いで出るが、着信元は雪希からだった。


「なんだよ、俺今眠いんだけど」

「カオル!綺月ちゃんから連絡あった?」


雪希は焦ったような口調で綺月の名前を出す。

少し息が乱れていて、電話越しから外の音が聞こえる。


「おい待て、お前まだ退院してねぇだろうが、なんで外にいる」


まだ退院する連絡は入っていないはずの雪希が外にいる?しかも走ってる?

俺は脱ぎ捨てた靴をまた履きながら聞く。


「緊急事態なんだよ、綺月ちゃんと菜穂が消えた」

「…は?」


綺月と菜穂が消えた?

さっきまで死ぬほど眠かった眠気が一瞬で飛んでいく。