スキナダケ

「いいよ、教えたげる」

「は?」

「貸して、ソレ。いいナイフだね」

ハナに触れようとしていた黒髪の手を払いのけて、金髪の方へ擦り寄った。

「おい!」

黒髪は心外そうにハナの腕を掴んだ。
必死で滑稽で、気色悪い。

「焦んないでよ。あなたと一番遊んであげるからさ。好きにしていいよ」

耳元でそう言ってあげたら満足そうにニヤついてあっさり引き下がった。

「ねぇ、貸して」

「…どうすんだよ。」

「こうすんの」

ハナに正面から直視された金髪はうろたえた。
ゆるゆると差し出されたナイフを金髪の手から取って、その太ももに突き立てた。

「アアアアァァァァアアアアッ!!!テメ…なにすッ…」

「教えてってそっちが言ったんじゃん」

「キャァァアッ!!!ハナっ…ハナちゃん…冗談だよね!?」

「冗談?何が?だってせっかくいいナイフ持ってんだから使ってあげなきゃもったいないじゃん。それともただの飾りだった?」

「お前…マジかよ」

茶髪が金髪の太ももから噴き出す血をしっかり見たまま後退りをした。

逃げるつもりなんだ。
そうはさせない。

ガチャッと玄関のドアが鳴った。
もがく金髪以外がドアをサッと見た。

「おいおい、始まってんのかよ」