スキナダケ

「それで?なんで死にたいの?」

お姉さんはわざと笑顔を貼り付けてるみたいに表情を変えない。

「んー。正直言うと、別にそんなに理由があるわけじゃないよ」

「理由も無いのに死にたいの?」

「ハナちゃんにだってあるでしょ、そういうこと」

「そういうこと?」

暑いよね、って言いながら、お姉さんは冷房をつけた。

三十分経ったらハナはサクッとお姉さんを殺す。
今日は初めて毒殺にチャレンジしてみるつもりだった。

薬はもちろんお父さんに貰った。
出所は知らない。

詳しい成分も知らない。
殺せるならなんだっていい。

ただ「毒」にどれだけのポテンシャルがあって、
死に至るまでにどれくらいの時間を要するのか興味があっただけ。

死に損なわれたらたまんないから十分な量は持ってきてる。

ただ話をして殺すだけ。
この部屋だってさっさと出るし、暑かろうが寒かろうがどうだっていい。