スキナダケ

イチは自殺として処理された。

仲間の警察の人達を呼ぶ前に、おじさんが買ってきてくれた水で、血で汚れた体を洗った。

第一発見者として扱われたハナは、
イチにこの場所に呼び出されて来たら死んでた、
助けなきゃと思ってナイフを握ったけど抜くことが出来なかったって証言した。
イチの指紋よりハナの指紋が下に付いてるはずだけど、そんなことはどうでも良かった。

おじさんは偉い人だから、どうにかしてくれると思った。

少しして、イチのことがニュースで流れた。
自宅兼用の廃工場で家庭の崩壊に病み自ら命を絶った少女の訃報はすぐに世の中から忘れられた。

イチの死よりも大切なことが世の中には掃いて捨てるほどあった。

そのニュースを見ても、
ハナも何も感じなかった。