スキナダケ

イチの死体の隣に座って、スマホで電話をかけた。
相手はすぐに出た。

「おじさん、人が死んでる」

「死んでるぅ!?」

「うん。ていうか、ハナが…、僕が殺しちゃったかも」

「はぁ?」

「とにかく来てよ。場所は…」

お父さんと「仲良く」してくれているおじさんは三十分くらいですぐに来てくれた。

「こりゃあ派手にやったなぁ…。お前が?」

「そうかも」

「そうかも…ってなぁ。なんで?」

「この子が望んだから。僕に殺されたいって」

「お前はまたその顔で弄んだんだろ」

「違うよ。この子が望んだんだ。死にたいんだって。僕になら殺されてもいいって」

おじさんは僕の顎を掴んでジッと見てから、チッと舌打ちをした。

おじさんもなかなか整った顔をしている。
四十代くらいのおじさんにしては綺麗だと思える。

「で?どうすんだよ」

「正当防衛に出来ない?」

「お前は襲われてないだろ。争った形跡がちっとも無い」

「じゃあ自殺で決まり。ほらナイフだって自分で刺してんじゃん」

「お前なぁ…。指紋だってベッタリだろ。警察ナメんじゃ…」

「おじさん」

「あぁ?」

「なんか困ってること無い?最近さ、ちょっと厄介ごととか無いの?お父さんがさ、最近は暇でしょうがないって嘆いててうるさいんだよね。助けてよ」

おじさんはまた舌打ちをした。

「ほんと、嫌なガキだな」