スキナダケ

ペティナイフをイチの手に握らせた。
まだ温かいイチの手の平。
でも彼女はもう、確実に息絶えている。

イチに握らせたナイフをそのままもう一度、イチのお腹に突き立てた。

傍に捨てられるように置かれた汚いブランケットを取って、お風呂場に行った。

浴槽、洗面台、台所にも行ったけれど、どの蛇口を捻ってもやっぱり水は出なかった。
イチの血液で汚れた体を拭きたかったけれど仕方ない。

もう一度イチの死体が転がる部屋に戻って、ブランケットは適当に床に投げた。

制服を脱いでいたことが結果的に良かったかもしれない。
タンクトップとカッターシャツを着れば、血は隠せる。

首や腕、手の平は持っていたウェットティッシュで拭いたけれど、そんなんじゃまかなえるはずがなくて、ちょっと面倒だった。

帰りに自販機で水でも買うか、公園があればそこの水道を使おうと思った。

履いたままのズボンにも沁みが出来ていたけれど、ズボンが黒だからただの汚れで誤魔化せるだろう。