スキナダケ

イチの白い肌に触れた。
ピクってイチの肩が上下に揺れた。

胸に手を当ててみたら、ほんの少しだけ脈を感じた。
耳を当てて聴いた心臓の音ほどではないけれど、指先にイチの鼓動を感じる。

「ここに寝転んで」

ハナの指示にイチは素直に応じて仰向けになって寝転んだ。

「ありがとね」

「うん」

「ハナちゃんで良かった。私の命を貰ってくれるのが」

「貰わないよ」

「え…?」

「貰わないよ。奪うだけ」

「…そっか。うん。そうだね」

鞄から待ち合わせの前に買ってきたペティナイフを取り出した。
新品のナイフの刃はピカピカだった。

イチの喉がゴクンって鳴った。
でも表情は穏やかだった。