「最期に…聞かせて…。夕海はハナが嫌い?」

「好きとか嫌いとかっ…もうどうだっていいじゃない…!」

どうでもよくないよ。
よくないんだ…。

あぁ…出会わなきゃ良かったのかなぁなんて思いたくないよ。
夕海はきっと、ハナに出会わなきゃ良かったね。

夕海がハナの家に来たあの日、拒絶してれば良かった。

ハナがもっと強ければ依存なんてしなかったよね。

ハナが…ぜんぶ…。

目の前がかすむ。
頭の中がグラグラして、感じたことの無い感覚だと思った。

窒息しそうとかそういうことよりも、遠くのほうから嘔吐感が近付いてくる感じ。

ハナが見たママやクラスメイト達のもがき苦しむ姿よりも、思ってたよりも全然苦しいって感じない。

必死に目を開けて…最期の最期まで夕海を…夕海…

夕海が何か…、手を………夕海………

あぁ…やっぱり………す…きだ…ゆう…み…

夕海。来世では一緒に生きようね。

夕海のカサついたくちびるの感触がした。
冷たい。触れるようなキス。

夕海…。ゆう………。

「ハナちゃん。やっぱり好きだよ。ハナちゃんの、顔が」