「行きたいとこあるんだ」
「ふーん。いいよ、どこでも」
「なにー?なんかハナちゃん、ツレなくない?」
「そんなことない。はやく行こ」
ニコって笑ってあげたらイチは秒で機嫌を直した。
イチに手を引かれてやってきたのは、
とっくに経営が破綻してそうなボロボロの工場で、経営が破綻してるっていうのは本当らしかった。
「なに、ここ」
「私の前の家」
「前の?」
「うん。パパがやってたんだ。飛行機に使うパーツを作ってたんだって。
その頃は小学生だったからよく分かんなかったけど。小さな工場だけど生活はそれなりだった。
でもね、私が小学生の時にダメになっちゃったの。パパ、親友に騙されて借金の保証人になっちゃったんだって。そこから一気にお金が無くなっちゃって、あっという間に工場は潰れちゃった。現代にそんな話あるんだぁって、どっかで他人事みたいだった」
イチは潰れた工場を見つめながら静かに話してた。
工場の中は真っ暗でよく見えない。
もう機能しなくなって随分経つはずなのに、どこかすすけたにおいがした。
「ふーん。いいよ、どこでも」
「なにー?なんかハナちゃん、ツレなくない?」
「そんなことない。はやく行こ」
ニコって笑ってあげたらイチは秒で機嫌を直した。
イチに手を引かれてやってきたのは、
とっくに経営が破綻してそうなボロボロの工場で、経営が破綻してるっていうのは本当らしかった。
「なに、ここ」
「私の前の家」
「前の?」
「うん。パパがやってたんだ。飛行機に使うパーツを作ってたんだって。
その頃は小学生だったからよく分かんなかったけど。小さな工場だけど生活はそれなりだった。
でもね、私が小学生の時にダメになっちゃったの。パパ、親友に騙されて借金の保証人になっちゃったんだって。そこから一気にお金が無くなっちゃって、あっという間に工場は潰れちゃった。現代にそんな話あるんだぁって、どっかで他人事みたいだった」
イチは潰れた工場を見つめながら静かに話してた。
工場の中は真っ暗でよく見えない。
もう機能しなくなって随分経つはずなのに、どこかすすけたにおいがした。



