スキナダケ

「ねぇ、今日はどこに行くの」

この駅で待ち合わせをすることはイチが決めた。
二人の家からちょうど中間だし、イチが行きたい場所も近いから。

その場所への最寄り駅がここだなんて奇跡だって、イチはすごく喜んでた。

ハナはどうだって良かった。
イチが行きたい場所がここから何百キロ離れていようが、
ハナとイチの家が日本とブラジルくらい離れていようが。
そんなことに奇跡なんて感じない。

たまたま自殺志願者の履歴に引っかかって、
たまたま家が近かっただけ。

どうせすぐにハナの生活からは居なくなる存在に、運命だとか感じてる暇は無い。