スキナダケ

おじさんが茶髪の首を持って、その口に拳銃を突っ込んだ。

茶髪の顎をつたって唾液がダラダラと溢れ落ちる。
生きてても死ぬ間際も汚い人間なんて、本当に憐れだ。

何十個もまとめて風船を割ったみたいな発砲音がなって、白い壁にどす黒い血液が噴射した。
茶髪の顔から面影は無くなった。

おじさんの拳銃から硝煙が上った。
火薬のにおいは好きだ。
理由は分かんないけど、なんとなく。

黒髪を見た。
腰を抜かしたのか床にへたり込んでいる。
目の焦点が合ってない。
動転し切った人間はこうなるんだって勉強になった。

「ねぇ」

近寄って声をかけたら黒髪はビクッと体を震わせた。
ハナを見てるけど目は合わない。
呼吸が荒い。

黒髪の頬に触れた。

「ヒッ…な…なに…ヤメ…」

「ねえ、あんた僕のことほんと嬉しそうに触ってたよね。僕が男だって知ってても欲望には勝てなかったんだね。綺麗な物とそうじゃない物の判別がきちんと出来るのは偉いよ。この中ではあんたが一番マシかもしんない。だからさ、ご褒美だよ」

頬から少し手をズラして、口に親指を滑り込ませたら、黒髪は力なくだらんと口を開けた。

ハナの舌を差し込んで深くキスをした。
本能なのか条件反射なのか、黒髪はハナに逆らえない。

もっともっとって懇願するように舌を絡めてくる。

その舌を、思い切り、噛み切った。