このコンペをまとめる上司の海老原部長から、穴子氏へと称賛の言葉が掛けられた。今の時点では、
Aチームが一歩リードと言ったところか。


「うーん、しかし穴子君。これじゃあ食事の時、マスクが汚れてしまわないかなぁ。」


そう言って、穴子氏を牽制する鱒夫。しかし、そんな鱒夫の声は穴子氏の様に心地よい低音ボイスでは無い。頼り無さがどことなく滲み出た、裏返ったような声だ。


「それでは、次にBチーム発表お願いします。」


鱒夫が率いるBチームが開発したグッズは、マスクでは無くフェイスシールドだった。



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