「彼女できたわ!!!」

そう言うあなたは、私達に向かってキラキラした笑顔を向ける



グラスが結露して、机を濡らして、
涙なんて出ない。
世界がモノクロになることもなく、
ただ、時間が過ぎていく。

わかっていたことだ
いつかこんな時は来る

むしろ今まで来なかったのが不思議なくらいだ




「まじで?!おめでとう!!」

少しの間も開けずに明るく答える

周りもはやし立てて場が盛り上がっていく



「はぁ?!お前いつの間に!!」
「おめでとさん!!」
「ずりぃーー!!」
「写真見せろよ写真!!!」




「お前いつの間に付き合ったんだよ!」
無理なんてしてなくて。
逆にそれが虚しくて。



そこまで君に本気じゃなかったのかな

とか

そこまでショックじゃないな


とか。

色々考えて、でも、


彼女のことは聞きたくないや。

そう思った自分がいてちょっと安心した



君は昔から人が良くて。

顔もよく見れば普通にイケメンと言われる類で。

優しくて。

面白くて。

ちょっとバカで。

一緒にいて楽しくて。




私たちは誰がどう見ようと、最高の“親友”だった。


「でもなんかちょっぴり、寂しいや!」

嘘でもなんでもない。私の本音。

ちょっぴりっていうのは嘘ついたかもしれないけれど

「まじ?w
安心してよ!これからも1番の親友だから!」

ほら
あなたはすぐにそう期待させる



私は親友でいたくない。






そう言えたら、どんなにいいか。




君はきっと優しいから
これからもこの位置に私を置いてくれる

彼女のことを優先する日もでてくるだろうし。
誕生日は2人で祝うのかな。

一緒にお風呂に入って同じベッドで寝て。


いつか、


結婚とかするのかな





その時は



あぁ、私がスピーチか。


段々現実味を帯びていくそれに見て見ぬふりをする。


きっとそれは君のタキシード姿を思い浮かべてしまったから。



大丈夫


彼女なんて別れるかもしれないし







でも









分かってる。




高校を卒業して早数年

あいつが誰から告白されても付き合ってこなかったこと


表情からして本気なんだっていうことも


私だからわかる

あーあ。




この世界が、
ファンタジーなら良かったのに。







今日もまた、君は俺に問いかける


「そういうお前もそろそろ彼女作れよな!!」