ここは…どこ?


 一面真っ白な部屋の中。


 私は1人で立ち尽くしていた。


 …あれ、私、さっきまで先輩と一緒に寝てたような。


 不思議に思いながらも前に進んでいると、少し向こうにうっすらと誰かの姿が見えた。


「榛名先輩!」


 私はその人の名前を呼んで、息を切らしながら駆け寄った。


 榛名先輩のもとに着くと、先輩はゆっくりと私の方を振り返って、


「…誰?」


 と、今までの先輩からは想像もつかないほどの、低く冷たい声で言った。


「えっ…は、榛名先輩、私のこと忘れちゃったんですか…?」


「…なんだよお前」


 榛名先輩はそう言うと、私に背を向けて歩き出した。


 追いかけたいのに、足が石のように固まって動けない。


 私は出来る限り先輩へ向けて手を伸ばした…が、その手が先輩に届くはずもなくて。


 変えられない現実に、私の瞳から雫が落ちた。


 辺りが少しずつ闇と化していった。