キミのとなりで夢を見て



「…でも、仲良いんだ」


 と、低い声で先輩が言った。


 …えっ、なんか、先輩怒ってる?


 言葉からはわからないけれど、声色からして不機嫌だということは感じ取れた。


「仲良くはないですけど…」


 私はひとつひとつ言葉を選びながら言った。


「…じゃあなんで手握られても抵抗しないの」


 えっ、なんで知ってるの!?


 まさか、ずっと見てた…!?


「えーっと、それは…」


 別に変な意味とかはないんだけどなぁ。


 私がはっきり言えずに口をモゴモゴさせていると、


「…小桃、こっち来て」


 と、先輩に呼ばれた。


 …昨日のこともあるから、本当は行きたくないな。


「…なんでですか?」


 でも、先輩相手にイヤとはっきり言えるわけもなく、せめてもの抵抗でその理由を聞いた。


「いいから」