私は委員の仕事を再開した。ーーが、奥の方から少し眠そうな声が聞こえた。
「こーももー…」
私が驚いて声がする方を見ると、カーテンの隙間から顔を覗かせている榛名先輩がいた。
…あ、そういえば、先輩がいるの忘れてた。
この前のことがあったからあまり関わりたくなかったけれど、声をかけられたら無視するわけにはいかない。だって、先輩だもん。
「…どうしたんですか?」
私はあたかも今先輩に気づいたように振る舞った。
すると、先輩は少し機嫌が悪そうに、
「…今の、誰?」
と言った。
今の、って…水樹くんかな?
「1年3組の水樹蒼葉くんですよ」
私は水樹くんが私にした自己紹介と同じものを先輩にした。
「…小桃は?」
「私は2組です」
だから水樹くんとは隣のクラス。
「じゃあそいつとはクラス別なんだね」
先輩の言葉に、こくりとうなずいた。



