「……まこちゃんー?」



「……ぁっ」








急に顔を覗き込まれて、はっと我に返る。









至近距離で、大きな瞳がぱちぱちと瞬かれた。








そうだ。


私、琴音と遠くの大きな公園に、遊びに来ていたんだっけ。









考え事をしていてすっかりと忘れていた。







きょとんと首を傾げる琴音に申し訳なくなって、その髪を優しく撫でた。












「琴音……ごめんね、ぼーっとしてた」




「ううんっ? 大丈夫だよ~。まこちゃんしんどいの? だいじょーぶ?」




「……大丈夫だよ」








そう返して、ほっと息を吐く。





すると息はふ、と白くなって、空中に靄をかけた。








そんな現象を目にして、ぼんやりとまた考える。









……もう、冬か。






夏に島津くんと出会って、あっという間に時間が過ぎて。






本当に、楽しかった。





ふ、と動きを止める。















どろり、と。











冷たい、深い沼の底に意識が沈み込んでいくような、感覚。