遠慮すんなって、と得意げに笑ってようやく神谷さんは離れていった。
休憩しているのに、どっと疲れてしまった。
すみません、と向かいに座っている五嶋さんに小さく詫びて、大福の残りを口に押しこむ。
大変だな、ぼそっと五嶋さんがつぶやいた。
揶揄や同情といったものではない。どこか共感の響きが感じられた。
こんなことを男性の上司に言うべきじゃないのは分かっている。
ただ今は、気持ちを吐き出してしまいたいという欲求に、抗うことができなかった。
「…ああいう人ばかり寄ってくるんです」
固い声で口を解いてしまうと、あとは言葉があふれるままだった。
「べ、べつにわたしじゃなくても誰でも、自分の好みのタイプだったらちょっかいを出すし、彼女がいてもお構いなしで。
なぜか幼くて扱いやすい女の子だと勝手に期待されて。
わたしが実際なにを考えているのか、なにを好きなのかなんて、どうでもいいんです」
自分で自分の傷口をえぐって、当たり前だけど痛みをおぼえる。
休憩しているのに、どっと疲れてしまった。
すみません、と向かいに座っている五嶋さんに小さく詫びて、大福の残りを口に押しこむ。
大変だな、ぼそっと五嶋さんがつぶやいた。
揶揄や同情といったものではない。どこか共感の響きが感じられた。
こんなことを男性の上司に言うべきじゃないのは分かっている。
ただ今は、気持ちを吐き出してしまいたいという欲求に、抗うことができなかった。
「…ああいう人ばかり寄ってくるんです」
固い声で口を解いてしまうと、あとは言葉があふれるままだった。
「べ、べつにわたしじゃなくても誰でも、自分の好みのタイプだったらちょっかいを出すし、彼女がいてもお構いなしで。
なぜか幼くて扱いやすい女の子だと勝手に期待されて。
わたしが実際なにを考えているのか、なにを好きなのかなんて、どうでもいいんです」
自分で自分の傷口をえぐって、当たり前だけど痛みをおぼえる。



![he said , she said[完結編]](https://www.no-ichigo.jp/img/book-cover/1737557-thumb.jpg?t=20250401005900)