『彼方…2年後、俺と養子縁組を組もう。俺を親だと思ってくれなくてもいい。だけどお前の師匠としてそばにいさせてくれ』


「よーしえんぐみ?」


『本当の親子じゃないけど、法律上の親子になることだ』


「……僕なんかが大輝さんの、いいの?」


『条件は…そーだな。俺と手話、勉強しような』


にこりと笑った大輝さんの首に僕は抱きついて、声を上げて泣いた。もう抑えておくのは出来なかった。


大輝さんは手に持っていたスマホをベッドへ置いて両手で僕を抱きしめる。




僕にとってのヒーロー、それは大輝さん。
僕を助けてくれた優しい人。

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それからはあっという間な日々だった。手続きして、僕は2年だけ施設で暮らすことになった。


施設にいることになったとしても、大輝さんたち青龍のみんなは快く受け入れてくれた。


____そして2年後



僕は正式に大輝さんの養子となった。そんな関係になったとしても大輝さんは父親だと一言も言わない。それだけがずっと、僕の心に残ってる。


「大輝さん、それはどういう意味なの?」


隣にいる大輝さんはパーの状態で中指と薬指を折ったような手話を僕に見せる。目を細めて笑った大輝さんはその時その答えを教えてくれなかった。