初めて会った時よりも笑顔が増えて、より明るくなった彼女を見ると助けて良かったと実感する。彼女をそうさせた人物であるランが後ろの方から匡と歩いてくるのが見えた。


「私たちね、都会からは離れてランを知る人がいないぐらい田舎の方で花屋でも開こうかなって」


「そっか。2人にはお似合いの仕事だね。仲良く過ごすんだよ?」


匡が連れてきたランは私を見ると頭を下げる。もう別にそこまでしてくれなくていいんだけどなぁ。


「昨夜付けで俺の組織はすべて本郷の方へ引き渡しました。こんなに手早くできたのも匡さんのおかげです。そして、助けてくださった波瑠さんにも改めて感謝を」


匡が裏で動いていたことは知っていたけれど、ここまで早くあの組織を傘下に組み入れられるとは思っていなかった。きっと寝ていないであろう彼には後で感謝のメッセージを入れておかないと、と頭の中でメモをする。


「……そうだ、2人が落ち着いたら今度は日本に遊びにきてよ」


「うんっ、もちろん!!その時まで沢山お花の写真を撮って、見せられるように頑張るね」


リンファが私の両手を掴んで笑顔で言った。それにつられるように私も口元を緩ませて頷いた。


2人と別れる前に慎たちも含めて写真を撮った。スマホに写る私たちは各々違う表情を浮かべているが共通しているのは皆楽しそうであることだ。青龍が3人に、白虎が私と匡、中国人の2人に、後ろでは邪魔をするように聡太郎がピースしている。


グループも国籍も、年齢差も関係ない。ここに写る私たちはまさに普通の青少年であった。


そしてこれがただの“本郷リリィ”として過ごせた最後の瞬間だったのかもしれない。