とあることがきっかけで自分に対する自信を失くし、恋愛やおしゃれから遠ざかっていた花籠華恋(はなかごかれん)は、二十一歳の誕生日に鍵宮零(かぎみやれい)を紹介され、結婚することになってしまう。

愛のない結婚だと思っていた華恋だったが、零に少しずつ惹かれていき、両想いとなった。

これは、そんな二人の物語ーーー。



華恋と零が結婚してから、もうすぐ一年が経とうとしている。時間の流れに驚きつつ、華恋は零と共にソファに並んで座っていた。二人の目の前には電源の入ったパソコンが置かれている。

「零、華恋さん、無事に産まれたよ。母子共に健康!」

興奮気味に零の兄である龍羽(りゅうは)がパソコンの画面の中で言う。龍羽はアメリカに住んでおり、彼はアメリカ人のエミリーと結婚している。

今日はエミリーが出産をしたので、龍羽は二人に知らせてくれたのだ。パソコンを龍羽が持って移動する。病室のベッドにエミリーが横になっており、その横には双子の赤ちゃんが寝かされている。