中で聞くことにして、入ってきた出雲くんは部屋の小さいソファに腰かける。

 私も向かいでデスクの椅子に座った。

「お前さぁ、ピアノうまいじゃん」

 切り出されたのは意外なことだった。

 急にピアノをほめてもらえるなんて。

「そうかな? ありがとう」

 不思議に思いつつもお礼を言った。

「クラシックじゃなくても弾けるの?」

「あ、うん。ジャズとか、あとアニメの曲とかもたまに弾くよ」

 話はよくわからなかった。私は単純に答えていく。

 しかし続くことにはびっくりしてしまった。

「そりゃ好都合だ。なぁ、お前、BGM弾いてくれないか? 楽譜はあるから」

 すぐ思い当たることはあった。

 だけどまさか、そんなわけは。

「BGM!? まさか配信の!?」

 おろおろ言ったのに、出雲くんはしれっと言う。

「ほかになにがあるよ」

 確かに出雲くんに頼まれるとしたら、それだろうけど!

 私は心の中で言ってしまった。