ただいま配信中!~年上幼馴染は人気Vtober~

「……嬉しい、な」

 すごく緊張していて息苦しいほどだったけれど、私は笑みを浮かべて言った。

 それだけで私も同じ気持ちなのは伝わってくれただろう。

 出雲くんは優しく目元を緩めた。

 とても穏やかで幸せそうな笑みが広がって、でもすぐにその目は伏せられた。

 頬に触れていた手に少しだけ力がこもって、すっと顔を寄せられる。

 どきん、と胸が反応したけれど、私は自然に目を閉じていた。

 あたたかな感触が、そっとくちびるに押し付けられた。

 ふわりと甘い香りも漂う。

 すべてが私を幸せにしてくれた。



 春が来たら、きっと私の手には本物の鍵がやってくるだろう。

 出雲くんと二人きりで暮らす、家の鍵。

 私に贈られた鍵のネックレスは、きっとその予告だったのだ。


(完)