「もちろん、おじさんやおばさんの許可を取ってからでいい。でも考えてくれないか?」

 確かに中学生が家を出て暮らすなら親の許可は必要だ。

 私は衝撃のあまり、飛んでいたそれにやっと思い当たった。

 どう答えたものか、と思ってしまう。

 私が悩んでしまった数秒の間に出雲くんが先に言った。

「羽奈の家に住ませてもらって、三ヵ月くらいかな。ずっと好きだった羽奈と、同じ家で一緒にいられてとても幸せだと思った。だから」

 そのとき出雲くんの手が私の手に触れた。箱を持った上から、そっと包んでくれる。

 じっと見つめられて胸が静かに騒いだ。

「二人きりだったら、もっと幸せだと思って」

 まっすぐに見つめて言われて、今度こそ私の顔は真っ赤になっただろう。

 二人きり、それはもう同居というよりも……。

「今度は同居じゃなくて、同棲したいんだ」

 出雲くんが静かに言った。

 それはこの突然の提案の理由。

 とても幸せな理由だ。

 すぐになんて答えられない。

 でも……。

「う、……うん。ちょっと考えても、いい?」

 私はどきどき騒ぐ胸を抱えながら、なんとか言った。

 だってとても嬉しいと思う。

 私もそうできたらいいなと思う。

 そして出雲くんからも願ってくれるのなら、余計に叶ってほしいと思う。