箱の中、クッションに埋まるように入っている鍵。

 とくとくと心地良く胸が高鳴る。

 アクセサリーを贈られたのも特別だし、出雲くんからだというのは、もっと特別。

「羽奈、俺、高校生になったらスタジオを借りようと思うんだ」

 ふと出雲くんが口を開いた。少し固くなった声で言う。

 でも内容はまったく話題と違っていたから、私はきょとんとした。

「そうなんだ?」

 おかしな内容ではない。

 出雲くんはVtoberなのだから、もっと音響がしっかりしている部屋が欲しいだろう。

 それなら高校生になったらと望むのは自然だ。

 でも私はきっとのんきだった。

「自宅と兼用にしようと思ってて……。お前も一緒に住まないか?」

 出雲くんが真剣な目で言ってきたことに、目を丸くしてしまった。

 自宅と兼用!?

 確かに高校生なら一人暮らしはできるだろう。

 でも私も一緒に!?

 遅れてどきどき胸が高鳴ってくる。

 まるでプロポーズ、と思ったけれど、多分あまり間違っていなかった。

「え、え、……ええっ!?」

 声はひっくり返った。

 いいも悪いも、すぐに言えない。

 ただ目を白黒させてしまう。