両方から知って、私の体がふわっとあたたかくなった。

 それは幸せに。

 緊張もなにもかもなくならないのに、上回ったのは喜びと幸せだった。

「……はい」

 小さな声の返事でも、しっかり届いてくれただろう。

 私の気持ちも意思も、出雲くんの言ってくれたことに幸せを覚えたことも。

「良かった。断られたらどうしようかと思ったよ」

 ふーっと出雲くんの胸が動いて、息を吐き出す。

 心からほっとしたという声。

 私はこんな状況なのに、なんだか安堵した。

 出雲くんも不安に思ったりしていたんだ。

 そう知れると、なんとなく自分の気持ちも楽になるように感じられる。

「断るわけなんてないよ。だって……子どもの頃から、好き、だったもん」

 前半は落ち着いて言えた。

 でもそのあとは、ごにょごにょしてしまった。

 だって恥ずかしいだろう。

 昔から好きだったと言うのも、そもそも『好き』というのを言葉にするのも。

 恥ずかしさのあまり、出雲くんの胸に顔をうずめていた。

 なのに出雲くんの胸は今度、笑いにだろう、小さく動いた。

「そっか。それは嬉しい」

 そのあとは、あまり話をしなかった。

 ただ、出雲くんの腕が私をしっかり抱いてくれていて、頭も優しく抱き込まれていて。

 とても幸せだったから。

 目を閉じて、とくとく伝わってくるまだ速めの鼓動と心地いい体温を感じながら、私はそこでやっと気付いた。

 雷の音。

 まったく気になんてならなかった、と。

 出雲くんがいてくれるから、きっと大丈夫。

 怖がることなんてない。

 もうそのときすでに、そう思えていたんだな。

 やっと気付いたとき、私はもっと幸せな気持ちになってしまった。