ゴロゴロ……ッ。

 ピシャーン!

「ひゃぁ!?」

 不意にまったく違う音がして、私はびくんと震えた。

 違う意味で心臓が喉の奥まで、ひゅんっと来たような感覚を覚えて、ひっくり返った声が出てしまう。

「……雷。いつの間に」

 出雲くんは数秒、目を丸くして黙っていたけれど、やがてぼそっと言った。

 すっと手を引かれてしまう。

 触れていたあたたかな感触が離れたことに、すぅっとするような、寂しいような感覚がしたけれど、その気持ちもはっきり感じられなかった。

「お、お、大きかった……」

 違う意味でばくばくしてきた胸をそっと押さえながら、なんとか言う。

 恐ろしいと思う。

 不意打ちで落っこちてきた音である以外にも、私は……。

「雷、嫌いだもんな。今もそうか」

 出雲くんに言われてしまった。

 恥ずかしくなる。

 そうだ、私は雷が苦手。

 子どもの頃からずっとそうだ。

 でももう中学生にもなって雷が怖いなんて、子どもっぽいだろう。

 恐ろしく思う気持ちと、恥ずかしく思う気持ち。

 両方で頭がぐるぐるしてしまったけれど、出雲くんは不意に何故か、ふっと笑った。

「大丈夫だって。俺が……、ああ、いや」

 なにか言われかけた。

 でもそれはすぐ消えてしまう。

 取り消すように言われた。