それで缶を開けて……私は目を丸くしてしまった。

 そこに入っていたお菓子はすごくかわいかった。

 焼き菓子だ。丸いドーナツ型で、穴から猫のクッキーがひょこっと顔を出している。

「かわいー!」

 私の顔は輝いてしまった。かわいいし、それにおいしそうだ。

 出雲くんは私のその反応を見て、あちらも嬉しそうに笑った。

「俺が『猫好き』って言ったからかな。かわいいよな」

 なるほど。

 出雲くんの好みだと思って贈ってきたんだ。

 なのにどうしてだろう。

 私の胸は、よくわからない痛みがちくっと跳ねた。

 でも一瞬のことだった。

 出雲くんが嬉しそうに、なに味かなんて確認しているところを見たら、すぐ消えてしまった。

 なんだったんだろう。

 でもいいや。

 今はそれよりお菓子だ。