「ただいまー」

 数日後、すっかり秋の空気になった道を歩いて、家に帰ってリビングに入ると、そこには出雲くんがいた。

「おう、おかえり」

 こうして同じ家に帰ってくることも、すっかり慣れた。

 もちろん同居は秘密なのだから、一緒に登下校はできないけれど、それでも嬉しい。

 ソファに座っていた出雲くんは、膝の上にタブレット端末を置いて、なにか見ていたようだ。

「ありがとう。なにか番組、見てたの?」

 私は制服にスクールバッグを持った姿のまま近付いた。

 出雲くんは微笑して、私に画面を見せてきた。

 そこには知らない番組が映っている。

「ああ。最近、急成長してる歌い手の番組。ま、勉強にな」

 そんなふうに言うものだから私は感心してしまった。

「へぇ……熱心なんだねぇ」

 配信がない日だって、その準備をしたりしているのに、出雲くんはこういうリサーチも欠かさないのだ。

 本当に配信したり、活動したりすることが好きなんだなぁ、とよくわかる。