「え、……っ!?」

 私が目を見開いて、きゅっと胸の中が反応したと同時。

 そっと肩になにかが乗った。

 優しい力で触れてきたのは、出雲くんの手。

 まるで肩を抱くような手つきだ。

 え、え、なに、なんでささやかれてるうえに、肩まで抱かれてるの!?

 その時点で私の思考はオーバーヒートしそうだったのに、同じような至近距離で言われたことに、ぼっと顔が熱くなった。

「羽奈、すごくいい香りがする」

 小声になった声。やわらかな響き。

 おまけに。

 ……いい香り!?

 ぼんっと頭の中でなにか熱いものが弾けた。

 香りなんて感じられてしまった。

 いい香りなんてなんだろう。香水なんてつけていない。

 オーバーヒートした頭では、もうはっきり知ることもできなくて私はフリーズしてしまった。

 その私から、耳元の声も、肩の手も、不意に離れた。

 すっと身を引かれたのだ。

「お前のシャンプー、バニラみたいで好きだな」

 もう普通の声だった。

 声も、言われた内容も。

 シャンプー……バニラの香り……。

 ……好き!?