「もう!
なんなんだろうな~、彩夜のヤツ」

歩きながら、まだ健悟は怒っている。

「な?
早起きしようと思えば出来るだろ?」

怒っているかと思えば、今度は笑っている。

「忙しいヤツ」

思わず笑ってしまう。

「なんだよ、きー」

「なんでもないよ」

「おい、まだ笑ってるぞ!
変だぞ、きー」

笑い合いながら、学校に向かっていると、

「朝から気持ち悪いんだよ」

後ろから冷たい声が聞こえた。

振り返ると、1学年上の上園 佑典(うえぞの ゆうすけ)がいた。

「すみません、先輩」

喜々良が謝ると、

「ききちゃんはいいの♡
可愛いから」

佑典はニコニコと笑う。