英比駅は、健悟が通う高校の最寄り駅で、夕方になると、健悟が通う、高校の制服を着た生徒が、駅に入ってくる。

健悟は、高校では部活動に入っていないので、健悟に会えるかもしれないと嬉しくなった。

駅の売店では、英比高校の制服を着たカップルばかりいた。

「あっ、あれ、可愛い~♡」

「なんだ、買ってくれアピールか?」

「そんなんじゃないぃ」

「嘘うそ、可愛いヤツだな」

彼氏が彼女の髪の毛を優しく撫でた瞬間、彼氏の横顔が見えた。

それは健悟だった⋯!

「⋯健悟?」

よせばいいのに、声を掛けてしまう。

健悟と彼女が後ろを振り向く。

「お~、きー!
久々だな!」

健悟は笑い、彼女は鋭い視線を喜々良に向ける。