「泣きすぎだから!」

コツン、いつものように、頭を小突かれたが、佑典の目も潤んでいるように見えた。

「あーあ、卒業したくねぇ!
ききちゃんから離れたくない」

抱きしめられたが、その言葉と行為の意味を考えてるうちに佑典が離れて、帰って行く。

「おい、何してんだよ!
今ならまだ間に合うぞ…!!」

健悟が必死で喜々良に言うが、喜々良は

「いいの…」

小さく呟いた-。

泣いたのは、寂しいから。

この時、喜々良がもう少し頭が良ければ、素直になっていれば、この先、あんなつらい想いはしなかっただろう…。

佑典への気持ちに気づくのは、まだまだ後の話-。