青い星を君に捧げる【零】

あの日を境に週に2・3回、佑真はお忍びで私の住む別邸を訪れるようになった。なんでも誰にも見つからずに来れるルートを見つけたとかなんとか。

今のところは当主様からの言葉はないし、噂なんかも耳にしないから大丈夫なようだ。


「波瑠さんの家の冷蔵庫……水以外なーんにも入ってませんね。どうやって生きてるんです?」


喉が渇いて両開きの冷蔵庫を開けたところに佑真が後ろから冷蔵庫を覗き込む。見えてはないけれど彼は私の一瞬見せた動揺を上から見て楽しんでる気がする……てか絶対に。


「匡がいつもは本邸から持ってきてるんです!!」


「きょうって阿久津匡のこと?」


なんで知ってるんだとびっくりして振り向く。佑真は開けっ放しになっている冷蔵庫を両手で閉めて、そのまま私を見つめる。彼の方が当然背は高いから私も負けじと見上げた。


「匡は白虎にいるから知ってるよ。あんまり長くいることないなーと思ってたけど……そうか本郷家にいるからか」


この人は本当に観察力・推理力が優れてる。白虎なんて大勢いる組織の中で一人一人を認知しているのだろうか。

そんなことを考えて油断していると目の前に溢れるような笑顔をした佑真が現れる。


「だから今日は一緒にお昼作ろうよ」


「え?」