「だから、アイツらを率いる者として俺は____正しくありたい。例え穢れたとしても芯だけは真っ直ぐでありたいんです」


「あなたはこれからもこの先もずっと正しく生きられると私は思うけどな」


「……ほら。言って無駄なことなんてないでしょ?必ずどこかで誰かが見てくれてるんです。応えてくれる人がいる」


稀有な巡り合わせで再会を繰り返している私たちだが、なぜ彼がここまで私に手を差し伸べてくれるのかがわからない。それゆえに縋りたくなってしまうのだ。


いつまた会えるか、もしくはもう二度と会えないかもしれない、あなたに。


「そういうものかな」


「そういうものですよ。案外何とかなるモンです。だから自信を持って好きなことやるべきだ」


どこかの家から美味しそうな晩御飯の香りが漂ってきている。子供と大人たちが愉快に笑う声が聞こえる。


それから私たちは一言も話さなかった。それでも気まずいとかは全くなくて。時折見える佑真の横顔に見とれ、自分の顔が赤くなるのを感じる。


私の知らない、初めて知ったこの感情の名前は何なのかとずっと考えては、行き着く先は1つしかなくて。


境界線がなくなったのは一体いつからだったのか。

誤魔化すように彼に回した手にぎゅうと力を込めた。