青い星を君に捧げる【零】

はい、どうぞと渡されたのは温かいカップとその上に乗せられた割り箸。1度開けられた形跡のあるフタの隙間からは白い湯気が漂っている。


「きっと波瑠さんの知らない味がしますよ。3分経ってるんで開けてみてください」


隣に腰掛けた佑真がベリベリと豪快に音を立ててフタを破り取っているのを真似て開ける。すると湯気が押し寄せ、良い匂いがした。


「のーこう、みそ……かっぷらーめん?」


フタにでかでかと書かれていた文字を読み上げる。片言だったのが可笑しかったのか麺をすすろうとしていた彼が笑う。


「波瑠さんは知らないかなと思って。夜に食べるカップ麺の美味さと罪の味」


ラーメン自体は食べたことあるし、どこが違うんだろうと思いながらも佑真に倣ってまだほぐれていない麺をほぐす。


「いただきます」


割り箸で麺を掴み、口に運ぶ。なんだろう、この感じ。


「美味しい……!!」


「でしょ!?この景色も時間も相まってさらに美味いんですよ」


夜も深まっているのにご飯を外で食べる。これがさっき彼が言ってた“罪の味”ってやつなのか。


家で食べるような健康的で豪華だろうけど味の薄いご飯より、断然絶品だ。夢中で食べ進める私を微笑ましく横目で佑真が見ていたことなど知る由もなかった。