《side.リリィ》
後日借りたものは洗濯したり、新品を買ったりして箱に詰めて送った。これであの人との縁は終わった。


……そう思っていた。


闇に紛れ、百合の宮を出て繁華街を歩く。煌びやかな人達の間をすり抜ける。宛もなく、ただ足を進めた。


明らかにガラの悪い、その上酔っ払っている男性たちの横を通った時だった。


「ねえ、君!!可愛いねぇ……俺たちと遊ぼうよ」


……めんどうな人達に絡まれたな。


強く手首を捕まれて、腕を引いてみても離れることはない。私の動きに気づいて更に力が込められてしまう。


辺りを見回すと面倒事に巻き込まれないように、または気づいてないフリをするように避けて通る人々。


私だって身を守る術があるから勝手に外に出できている。だけど、ここは人目があって捻り倒すには分が悪い。


そんなことを考えているうちに腕が引っ張られ、止まっていた歩みが進み始める。


「____その子、俺の連れなんだけど……どこに連れていこうとしてるのかな」


軽薄な、それでいて説くように柔らかな声に男たちは止まった。そのおかげで私も引っ張られて引きずるように歩かされていた足が止まる。