「これ、大阪土産だってさ」
お茶を淹れようとキッチンに向かいかけた時、主任からベージュ色のの紙袋を手渡された。
何気なく受け取って、そこに印字された文字を確認する。
「これ……!」
思わず顔を上げると、奥に通されてスツールに腰掛けかけていた穂乃果さんがふわりと微笑んだ。
「ご存知ですか? り●ろーおじさんのチーズケーキ」
「知ってます知ってます。この間、大阪に行った時に駅にお店があったから買って帰ってきて。とってもふわふわで、感動しました」
「あはは、そうなんですね。よかった、環さんも好きなやつで」
環さん“も”……ってことは、主任が好きなのかコレ。主任が好きだから、この人はこのチーズケーキを手土産に選んだのか。
幼なじみなんだから当然なのかもしれないけど、よく知ってるんだなぁ。
ケーキを切り分けて、私もテーブルに着く。お礼と共に、穂乃果さんは申し訳なさそうに眉を下げた。
「貴重なお休みの日に押し掛けてしもて、ほんまにすみません。つい、奥さんに会いたい! て気持ちが先走っちゃって」
「あ……いえ。結婚の話は、どなたから?」
「まー……真緒くんのご両親からうちの親に伝わって、そこから。私の結婚式の時にも2人で話す時間はあったのに、何にも言ってくれなかったからびっくりしちゃって」
穂乃果さんが私の隣に座る主任をちらりと見やると、主任は苦々しそうに顔を歪めた。
「言えるか、人の結婚式で、俺も結婚するわーとか」
「そんな遠慮するような仲でもないやんか」
「俺がする」
断固として譲らない主任に、穂乃果さんは不満そう。けど、言うわけないんだよなぁ。だってその時私は、まだただの部下だったわけだから。
ただ祝福するしかなかった主任は、どんな気持ちで純白に身を包む彼女に対面したんだろう。
「私、ずっとフランスにおったんです。だから、こっちのこともほとんど知らんくて。まさか真緒くんに、結婚するような人がおったなんて」
「……それはこっちの台詞や。帰国するなり、結婚報告されるとか思ってへんかったわ」
「あはは、そっか。お互い様か」
ケタケタと屈託なく笑う穂乃果さん。モテるんだろうなぁ、と直感で思う。
「そうだ、環さんにお願いがあるんです」
「なんですか?」
お願い? 首を傾げた私に、穂乃果さんが目をきらきらと輝かせる。
「お2人の馴れ初めが聞きたくて」
「はぁ!?」
返事をするよりも前に、主任が声を上げた。
「そんなこと、環に聞くな!」
お茶を淹れようとキッチンに向かいかけた時、主任からベージュ色のの紙袋を手渡された。
何気なく受け取って、そこに印字された文字を確認する。
「これ……!」
思わず顔を上げると、奥に通されてスツールに腰掛けかけていた穂乃果さんがふわりと微笑んだ。
「ご存知ですか? り●ろーおじさんのチーズケーキ」
「知ってます知ってます。この間、大阪に行った時に駅にお店があったから買って帰ってきて。とってもふわふわで、感動しました」
「あはは、そうなんですね。よかった、環さんも好きなやつで」
環さん“も”……ってことは、主任が好きなのかコレ。主任が好きだから、この人はこのチーズケーキを手土産に選んだのか。
幼なじみなんだから当然なのかもしれないけど、よく知ってるんだなぁ。
ケーキを切り分けて、私もテーブルに着く。お礼と共に、穂乃果さんは申し訳なさそうに眉を下げた。
「貴重なお休みの日に押し掛けてしもて、ほんまにすみません。つい、奥さんに会いたい! て気持ちが先走っちゃって」
「あ……いえ。結婚の話は、どなたから?」
「まー……真緒くんのご両親からうちの親に伝わって、そこから。私の結婚式の時にも2人で話す時間はあったのに、何にも言ってくれなかったからびっくりしちゃって」
穂乃果さんが私の隣に座る主任をちらりと見やると、主任は苦々しそうに顔を歪めた。
「言えるか、人の結婚式で、俺も結婚するわーとか」
「そんな遠慮するような仲でもないやんか」
「俺がする」
断固として譲らない主任に、穂乃果さんは不満そう。けど、言うわけないんだよなぁ。だってその時私は、まだただの部下だったわけだから。
ただ祝福するしかなかった主任は、どんな気持ちで純白に身を包む彼女に対面したんだろう。
「私、ずっとフランスにおったんです。だから、こっちのこともほとんど知らんくて。まさか真緒くんに、結婚するような人がおったなんて」
「……それはこっちの台詞や。帰国するなり、結婚報告されるとか思ってへんかったわ」
「あはは、そっか。お互い様か」
ケタケタと屈託なく笑う穂乃果さん。モテるんだろうなぁ、と直感で思う。
「そうだ、環さんにお願いがあるんです」
「なんですか?」
お願い? 首を傾げた私に、穂乃果さんが目をきらきらと輝かせる。
「お2人の馴れ初めが聞きたくて」
「はぁ!?」
返事をするよりも前に、主任が声を上げた。
「そんなこと、環に聞くな!」



