ある夜。

人工的な光が並ぶ繁華街の路地裏。

そこは、暗闇に包まれていた。


バキッ

ボコッ

ドスッ

グギッ


バキッやボコッなどのやばい音が聞こえる。

その音とともに

「ヒ、ヒィ、もう、やめろッ」

「バケモン」

「く、くるな!」

3人の男が怯え、叫んでいた。

しかし、次第に男たちの叫び声が聞こえなくなった。

男たちは、ピクリとも動いていなかった。

そして、どこからか、低く、通る声が聞こえてきた。

「お前がやったのか?」

男は、質問する。

「…あぁ。」

そして、

「お前は…黒桜?」

また質問する。

「…あぁ。」

黒桜、と呼ばれた全身黒色の男、いや女はあっという間に暗闇にくらんだ。

男は

「礼、してない…」

その頃、黒桜と呼ばれた女は

「今日は満月か、」
        
と静かに呟やき、暗闇に溶けていった。

黒桜の瞳には

ーー何も映ってはいなかった
 

この時、止まっていた歯車が動き始めた。

この先、どうなるのかは、誰も知らない。