手の届かないキミ



 すると、休憩スペースの方から声がした。


「…あ、やっと来た」


 私はその言葉に、思わず立ち止まった。


 もうすぐ昼休みが終わるので、私の周りには彼以外誰もいない。


 ということは、彼の目には私以外誰も写っていない。


 だから、さっきの言葉は私にかけられたもの。


 …私のことを待ってたの?


 足音がこちらに近づいてくる。


 私は、彼の方に顔を向けないまま、その場に固まっていた。


 私のすぐ横で、足音がピタリとやんだ。



「あのさ」



 私は、動けない。



 言葉も、返せない。



 私は今まで、彼と話したことなんて、本当に片手で数えられるほど。



 それなのに、何を言われるのだろう。



 彼からの視線を感じ、私の顔は少しずつ赤く染まっていった。



 少し、間が空いた。



 彼の方を見れないから、彼が今、どんな表情をしているのかもわからない。



 恥ずかしさと緊張で、逃げ出してしまおうかと思ったその時。



 彼が私に顔を近づけてきて、



「俺…キミのことが好きなんだ」



 と、私の耳にささやいた。