今日も一日が終わった。

またお風呂に入って、寝るだけの、同じことの繰り返し。




「おわすみ」

ポツリとこぼした言葉は、僕に向けてか君に向けてか
前は『おやすみ』って言うと『おやすみ』って返ってきたのに。



もう、届かないんだな。
そう思ったら、急に寂しくなってきた。


毎日大学に行く前に僕が結ってあげていた君の髪。
指で触れた髪も、もう、僕は触れられない。届かない。




君が出ていく前、君の左手の薬指で光っていた、名前さえ知らない十号のリング。
大学生だから指輪なんて考えていなくて、ブランドさえ知らない僕は君の取り残された。


もう届かない君のすべてが、僕を取り残していく。