風に吹かれてふわりと揺れる、桜色の髪。

前髪の隙間から覗く涼しげな瞳に、スッと通った鼻筋、薄い唇。

そして、スラリとした高身長。

緩く着崩された制服の上には、桜色のカーディガンが羽織られていて。

見た人全員が思わず見惚れてしまうような、端麗な容姿をした彼は、桜の季節にやってきた。


『桜雅 百瀬。よろしく』


彼と目が合った瞬間、暖かい春風が私を撫でた。

窓の外に目をやると、桜吹雪が地面を淡く染めていた。