フラれた後輩くんに、結婚してから再会しました


 わたしは、顔がこわばってくるのがわかった。
「みっともない?……てなに」
彼は、ビールから酎ハイに切り替えていた。かなりのペースで、いつもより酔いが回っているのか、眼鏡の奥の瞳は真っ赤だ。

「後輩かなんか知らないけど、仕事でつかってもらってるってことに変わりないだろ。 君の方が先輩だったのに、情けない」
「だから、それは、関係ないでしょう。たまたま、高校で一つ下の」

わたしはムキになっていたのかもしれない。昔は好きだったけど、それは今の仕事には全く関係ないと周りにも、自分にも言い聞かせたかったのかも知れない。だから、夫の言い方にとても嫌な気持ちになってしまった。

「こっちの身になってくれってことだよ。なんでわからないの? 今ごろ、どう思われてるか」
 裕一はわたしの言葉を待たずに続ける。もらった名刺を睨むように持っていた。

「嫁を働かせてる甲斐性のないやつって思われてると思うとさ、僕も男としての立場がないからだよ。少しは相手の立場に立って物を考えなよね」

ずきずきと頭が痛くなり、心臓が震えてくる。

「……あなたの立場なんて、あのお店では全く関係ないよ。わたしが、わたしとして仕事をしてるだけじゃない」
「仕事って……。ただのパートだろ」