フラれた後輩くんに、結婚してから再会しました


「え? そ、そう……?十年ちょっとやってるからじゃない?」
「そうかもしれないですね。先輩のお宅は、食事や家事は旦那さんと順番決めてますか?それとも、曜日制とか?」
「……え、そんな……。順番とかはないよ」
「じゃ、お互いができる時に、みたいな」
「ぜんぶわたしだよ。わたしの役目」

彼は目を見開いた。本気で驚いているみたいだ。
「な、に、当たり前でしょ。裕一は…、彼は働いているし、」
「先輩だって仕事してたでしょう?」
きょとんとした顔で聞いてくる。
「そうだよ。でも! わたしが家事全般やってるよ。上月くんたちは違ったの?」

結婚しても働いていたが、家事は全てやっていた。夫がそのことに疑問を持ったりすることはなかったし、わたしもそうするものだと受け入れてきた。けれども、目の前の人には、それは当たり前ではなかったみたいだ。

わたしは、何かにちくちくと刺されているみたいな気になった。思わず、尖った口調になってしまう。