ぐっ、と言葉に詰まる。図星だったから。
そういえば昔から、そうだ。なんども空回りしてはいろいろ後悔したり、自分に呆れたりしていた。わたしは、深く座席にもたれかかった。

「そうかな……」

しょんぼりと窓の外を見つめるわたしを彼はミラー越しにまだくすくす笑って見ている。

「都合が悪かったら、不採用にしてくれて構わないから」

思わずこちらも口を尖らせてしまった。

「え! そんなことしませんよ。黒田くん、Blueの店長ね。彼が採用って決めてたら僕はそれに従いますから」

彼は驚いたように言う。

「せっかく先輩がウチに来てくれるのに、断るわけないでしょ」
彼は再びミラー越しに笑う。その、流すような視線にドギマギしてしまう。

「それは、あ、ありがとうございます……」
「こちらこそ、ありがとうございます」

信号待ちでふたり、また瞳を合わせてぷっと吹き出してしまった。これまでの数日で、緊張しささくれていた気持ちがふ、と柔らかくなる。窓の外に目をやったわたしは久しぶりに、ため息ではない、満足した息を漏らした。