「ああ……。やっぱりダメだよね。わかってた」

 そう呟いて枕に顔を埋める。遠い昔に事務を数年やっていただけの主婦をいきなり本採用するような会社なんてないに決まっている。わかってはいたけど……。

 さっき裕一に投げつけられた
「君ってなんにも出来ないんだね」
「何年主婦やってるの」
 が、ぐるぐると頭のなかを駆け回っている。悔しくて、情けなくて、また目尻に涙が滲んできた。

 この言葉はでも、初めてじゃないのだ。
 半年くらい前だったろうか。忙しくて洗濯物を取り入れずに買い物から帰ってきた時のこと、たまたま直帰していた裕一が先に家に帰っていた。

 彼はさっきと同じように呆れ顔でベランダを指差しながら、「周り見てみなよ。こんな時間まで洗濯物干してるの、ウチだけだよ」
と刺々しく言った。私は慌ててエコバッグを置いてベランダに駆け寄って、
「そんなことないでしょ。まだ六時前だよ。それに前、夜に干すって言ってた人もいたもの」
と明るく反論した。裕一が冗談混じりで言ったのだと思ったのだ。