フラれた後輩くんに、結婚してから再会しました

「先輩、この辺りにお住まいなんですか?」

「ううん。駅はひとつ向こうだけど、今日は友達とランチだよ」
私は手元のチケットに目を落とした。目立つオレンジ色のそれを見た彼は小さくあ、と声を上げる。

「あ、れ? その、チケット……。『Blue』のやつじゃ」
「『Blue』?って……このお店のこと?」
「そうそう。これ、うちの店なんです!」

 え? わたしは目を丸くした。上月くんのお店?
 何も言えないでいると彼はくすくすと笑った。

「変わんないなぁその、びっくりした時の顔……。 そうなんですよ。僕、これでもその店のオーナーなんです」
「そ、そうなんだ……。すごい! オーナーさんなんだ。……あっ、もしかして、バンドが好きでライブ開催してるのは、上月くんのアイデアなの?」

彼はうんうんと、嬉しそうに頷いた。