「いらっしゃいま……せ」

 来た……。いつものあの人だ。

 いつも来る常連さん。そして、私の好きな人。

「シャケ弁一つ。ご飯大盛りで」

「か、かしこまり、ました」

 私の好きな人は、いつもシャケ弁を大盛りで買っていく人。
 その人の名前は知らないけど、いつの間にかこの人に心を奪われていた。 この人のことを、私はいつの間にか好きになってしまっていたのだ。

「あ……お会計、530円、です」

「じゃあこれで」

 その人から550円を受け取り、20円をお返しする。

「少々、店内でお待ちください」

「はい」

 か、かっこいい……。本当にかっこいい。
 背も高くてスラッとしているし、黒髪が本当に似合っている。

 左耳に空いたピアスがよく似合っていて、ボストンのブルーのメガネが本当に似合っている。
 思わず見惚れてしまうほどのイケメンだ。

 この人を見てると、本当にドキドキして困る。顔が赤くなりそうだ。
 はあ……心臓がバクバクする。
 
「美央、シャケ弁上がるよ〜!」

「はーい!」

 シャケ弁……あの人のだ。と思いながら、シャケ弁を袋に入れる。

「しゃ、シャケ弁、大盛り、お待たせしました!」