「美央、どうだった?ジムは?」

 翌日、出勤した私に鈴枝さんがニヤニヤしながら聞いてくる。

「い、行ってきました……一応」

「それで、名前は分かったの?」

 鈴枝さんは私の恋愛話に興味津々だ。

「はい。冬馬さんと言うらしいです」

「へぇ~、冬馬さんって言うんだ? 名前もイケメンね!」

 鈴枝さんは妙に嬉しそうだった。

「はい。実は冬馬さんが、昨日インストラクターやってくださって……」

「えっ!いいじゃない!」

 鈴枝さんが後押ししてくださったおかげとも言える。

「なんか私の名前、知っててくださってて……」

「あら! そうなの!?」

 鈴枝さんは大興奮の様子だ。

「ビックリしました……」

「でも名前もわかったし、次回からは指名出来るじゃない! 良かったね、美央!」

 鈴枝さんは私の肩を叩いてくれる。

「し、指名……。そう、ですね」
 
 指名料もかかったりしないし、しばらく距離を縮めるためには通うしかない。

「その調子で、頑張って告白まで持っていくのよ!」

「は、はい」

 うわあ……すごいプレッシャー!

「私に出来ることなら、何でも言ってね美央!」

「あ、ありがとうございます」