21トリソミー

「ただいまー」

 19:00。友樹が家に帰ってきた。

「いい匂いー。今日はカレーかー。お腹減ったー。何か奈子に『今日は早く帰って香純の話を聞け』っていわれたんだけど、何かあったの?」

 スーツ姿の友樹がジャケットを脱ぎ、ネクタイを緩めながらダイニングテーブルにやって来た。

「……食べてから話すよ」

 お皿にご飯とカレーをよそって友樹の前に置くと、向かいに腰を掛けた。

「……そう? じゃあ、いただきまーす」

 私の陰気臭さに友樹は一瞬首を傾げたが、空腹が我慢ならなかったのか、勢いよくスプーンを口に運んだ。

「うんま‼」

 美味しく食べてもらえるのは嬉しいが、市販のルウを使った、独自のアレンジ一切なしの料理を喜んでいる友樹の姿に、何も知らないって幸せだな。と、羨ましいのか呆れなのか分からない感情が込み上げてくる。